日本と海外の雇用形態ってどう違いがあるの?海外の雇用形態についてくわしく知りたい!
今回はこうした悩みを答えます。
本記事で学べること
- 日本と海外の雇用形態の違い
- 海外の雇用形態の種類と特徴【主要国別】
- 海外就職・転職のための雇用形態別フロー
この記事を書いているぼくは現在、フルリモートで海外企業に務めています。これまでに海外企業のフリーランス契約やフルタイム契約を経験してきました。
本記事では、これから海外企業で働きたい人向けに海外の雇用形態について解説していきます。というのも、海外の雇用形態は日本といろんな面で異なるためです。
ぼくも海外でフリーランス契約→フルタイム契約(正社員)という順にステップアップしていきましたが、日本より雇用の始まり方がゆるくてかなり驚きました。そんな経験をもとに書いていきます。
今回の内容は、LinkedInやindeedなどを使って就職活動・転職活動をするときに必要な知識になります。いざ就活するときに戸惑わないよう、今のうちに海外の雇用形態について把握しておきましょう。
日本と海外の雇用形態の違い一覧
海外に雇われて外貨を獲得したい日本の方も多くなってきています。そんな方々に向けて、日本と海外の雇用形態の違いを一覧でまとめました。日本以外のGDPトップ5の国の雇用形態を参考にしています。
雇用契約の種類 \ 国 | 日本 | アメリカ | 中国 | ドイツ | インド |
正社員 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
契約社員 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
派遣社員 | ◯ | △(短期契約はある) | ◯ | △(短期契約はある) | ×(臨時労働に含まれる) |
パートタイム | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ |
アルバイト | ◯ | ×(パートタイムに含まれる) | × | ◯(ミニジョブと言われる) | × |
フリーランス | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
臨時労働者 | × | ◯ | ◯ | △(短期契約はある) | ◯ |
インターンシップ | △(他の国より不充実) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
海外と違う日本の雇用形態の特徴的な点は、非正規雇用の形態が充実していることですね。特に派遣社員やアルバイトなどの概念です。
海外の雇用形態でも派遣社員やアルバイトなどの概念がないこともないですが、日本ほど明確に区別されていない印象です。
海外の雇用形態の種類と特徴【主要国別】
海外の雇用形態についてもうすこし深堀りしていきます。各国の雇用形態や海外の労働時間の違いを見ていきましょう。
アメリカの主な雇用形態
海外の雇用形態を考えるときは、アメリカの雇用形態をベースに考えるとよいと思います。一般的にはアルバイトや派遣社員などの区別がない点が特徴です。それ以外は日本と同じ。
インターンシップが明確に設けられている点もアメリカの特徴ですね。インターンシップがある理由は、海外の採用方法に関する記事で解説しています。
雇用形態 | 労働時間 | 給与 | 福利厚生 | 特徴 |
フルタイム雇用 (Full-Time Employment) | 週40時間以上 | 固定給が一般的 | 充実している | 健康保険、有給休暇、退職金制度などが含まれる |
契約社員 (Contract Workers) | 特定のプロジェクトや期間限定 | 給与は高め | 通常含まれない | 自営業者として扱われることが多い |
パートタイム雇用 (Part-Time Employment) | 週40時間未満 | 時給制が多い | 限定的 | 短時間労働だが福利厚生が少ない |
フリーランス (Freelance) | プロジェクトベース | プロジェクトベースで報酬 | なし | 自己管理が求められ、柔軟性が高い |
臨時雇用 (Temporary Employment) | 短期的 | 給与は時給制が多い | 限定的 | 人材派遣会社を通じて雇用されることが多い |
インターンシップ (Internship) | 短期的な職業体験 | 有給・無給の両方あり | なし | キャリア構築のための機会 |
ギグワーカー (Gig Workers) | 短期の仕事 | 報酬はアプリに依存 | なし | デジタルプラットフォームを介して短期の仕事 |
中国の主な雇用形態
中国は日本でいうところの「正社員」や「契約社員」といった明確な区分はなく、派遣労働やアルバイトなどが一般的。それ以外は名称は違えど、日本と似ている箇所もあります。
以前ネットの記事でみましたが、中国は労働者の権利が強く、解雇事由が限定されているなどの保護が手厚いのが特徴です。
雇用形態 | 労働時間 | 給与 | 福利厚生 | 特徴 |
無期労働契約 | 通常の勤務時間(週40時間) | 安定した給与 | 充実している | 長期的な雇用契約、社会保険あり。正社員という明確な区分はない。 |
有期労働契約 | 通常の勤務時間(週40時間、またはそれ以下) | 給与は契約内容によって異なるが、正規雇用に比べて安定性は低い | 正社員と比べて内容が少ない、または限定的な場合が多い | 社会保険の適用はあるが、企業や条件によって異なる |
労務派遣 | 契約期間は2-3年 | 通常は契約ベース | 2014年の法改正により制限あり | 人材派遣会社を通じて雇用される |
非正規雇用(非全日制) | 柔軟な勤務時間 | 限定的な報酬 | 限定的 | 学生やダブルワーカーに人気 |
フリーランス | プロジェクトベース | プロジェクトベースで報酬 | なし | IT、デザイン分野で増加 |
インターンシップ | 短期的 | 有給・無給の両方 | なし | 正規雇用への移行を目指す |
プラットフォーム労働 | 柔軟な勤務時間 | アプリやプラットフォーム依存 | なし | フードデリバリーや配車サービスなどで普及 |
農民工 | 不規則な勤務時間 | 低賃金が多い | 限定的またはなし | 都市戸籍がないため社会サービスへのアクセスが制限 |
ドイツの主な雇用形態
ドイツはほとんどアメリカの雇用形態と同じですね。一点だけ特殊なのが、ミニジョブ。月収450ユーロまでの仕事をミニジョブというそうですが、日本でいうところのアルバイトですね。
ヨーロッパは全体的にアメリカ・ドイツの雇用形態に似ているため、日本人の人も働きやすいと思います。
雇用形態 | 労働時間 | 給与 | 福利厚生 | 特徴 |
正規雇用 (Vollzeitbeschaftigung) | 通常週35-40時間 | 固定給 | 充実している | 有給休暇、疾病手当、年金保険 |
有期雇用契約 (Befristeter Arbeitsvertrag) | 期間限定 | 固定給または時給 | 通常含まれる | 最長2年まで、更新は2回まで |
パートタイム雇用 (Teilzeitbeschaftigung) | 週35時間未満 | 時給制が多い | 正規雇用と同等 | 育児や介護と両立 |
ミニジョブ (Minijob) | 月収450ユーロまで | 低賃金 | 社会保険料免除 | 学生や副業者向け |
フリーランス (Freiberufler) | プロジェクトベース | プロジェクトベースで報酬 | なし | 専門職に多い |
インターンシップ (Praktikum) | 短期的 | 最低賃金の適用 | 適用される | 3ヶ月以上で最低賃金適用 |
インドの主な雇用形態
インドも基本的な海外雇用形態は同じです。一点だけ違うが、インドの主な雇用形態はジョブ型雇用であること。職務内容に応じて人材が採用されます。日本でいうところのジョブローテーションもないため、転職も活発に行われるようです。
完全な学歴社会でもあり、上位15%以外はかなり厳しい雇用環境で働くことになるそうです。まあ、あれだけ人口がいれば、その分競争は激しくなりますよね。
参考:インドの就職・転職事情~インドのジョブ型雇用 | マイナビキャリアリサーチLab
雇用形態 | 労働時間 | 給与 | 福利厚生 | 特徴 |
正規雇用(Permanent Employment) | フルタイム、無期限雇用契約 | 固定給、有給休暇 | 社会保障、有給休暇などが充実 | 大企業、公共部門で一般的 |
契約社員(Contract Employment) | 期間限定 | 契約ベース | 限定的 | 仲介業者を通じて雇用される |
パートタイム雇用(Part-Time Employment) | 短時間労働 | 時給制 | 限定的 | 学生や主婦に人気 |
臨時雇用(Casual Employment) | 日雇いや短期 | 日給、時給制 | 社会保障は限られる | 建設業や農業で一般的 |
フリーランス(Freelancing) | プロジェクトベース | プロジェクトごとに報酬 | なし | ギグエコノミーで増加傾向 |
見習い制度(Apprenticeship) | 実務経験と技能訓練 | 見習い手当 | なし | 若年層向け |
インターンシップ(Praktikum) | 短期的 | 時給ベース | 適用される | 一般社員と同じ扱いを受ける |
ジョブ型雇用 | 短期仕事 | アプリでの報酬 | なし | 配車サービス、フードデリバリーで拡大 |
海外就職・転職するには?【雇用形態別フロー】
この記事を見ているあなたは、将来的に海外就職や転職を考えているはず。そんなあなたに向けて、海外の雇用形態別にどんな感じで採用・契約していくのかフローでまとめました。
今回は、以下の代表的な5つの海外の雇用形態をピックアップします。
- フルタイム契約(Full-time)
- パートタイム契約(Part-time)
- フリーランス契約(Freelance)
- 契約社員(Contract)
- インターンシップ(Internship)
それぞれ解説していきます。
①フルタイム契約(Full-time)
フルタイム契約とは、日本人で言うところの正社員になるってことです。流れは日本で就職・転職する場合とほぼ同じ。
フルタイム契約には、さまざまなアプローチがあります。
■ 1:直接応募
1つ目は、直接フルタイム契約を応募するときですね。一般的な流れは以下のとおり。
- LinkedInやIndeed、各社の求人ページを開く
- 希望の職種で検索する
- 必要に応じて「Full-time」でフィルターをかける
- 良い仕事があれば応募する
上記以外にも、LinkedInでのスカウトや知人からのリファラル採用などでフルタイムに採用される場合もあります。
海外の採用プロセスは通常、書類選考→スクリーニング面接→一次面接→技術テスト(Webライターならテストライティングなど)→最終面接→内定→入社手続き、という感じです。
参考:海外と日本の採用方法の違いとその特徴【攻略法はSNS活用】
■ 2:段階的アプローチ
すでに別の雇用形態で会社にjoinしていて、その仕事ぶりなどが評価されて、フルタイム契約になるパターンです。どの契約からも可能性ががあります。
- パートタイム契約→フルタイム契約
- フリーランス契約→フルタイム契約
- 契約社員→フルタイム契約
- インターンイップ→フルタイム契約
ちなみに、ぼくは「フリーランス契約→フルタイム契約」のパターンでした。フリーランスのライターとして正社員並みに記事を書いてたら、「正社員になれば?」と言われ、フルタイム契約に移行しました。当時、このあっさりとした感じにめっちゃ驚きました。
なお、フルタイム契約の特徴は、月額の固定給である、有給休暇がある、福利厚生などが充実していること。フルタイム契約は多くの国でビザ取得の要件になっていることもポイントですね。基本的には他の雇用形態よりもメリットは多めです。
②パートタイム契約(Part-time)
パートタイム契約は、部分的な時間で働く海外の雇用形態。
パートタイム契約で仕事を獲得したい方向けの王道が以下のパターンですかね。
- LinkedInやIndeedにアクセス
- 「Part-time」と調べる or フィルターをかける
- 良い仕事があれば応募する
基本的には、フルタイム契約の仕事をとるときと同じです。
③フリーランス契約(Freelance)
フリーランスとして契約する海外の雇用形態です。特徴は、フルタイム契約やパートタイム契約と違って成果報酬であること。ライターの場合は、「文字単価」でもらうということです。
フリーランス契約の仕事を獲得する方法はいろいろあります。
- LinkedInや求人サイトでフリーランス契約の仕事を探す
- クラウドソーシングサイト(UpworkやFreelancerなど)で仕事を探す
いきなり海外転職となるとハードル高いと感じやすいですが、フリーランス契約からならすこし余裕が生まれますよね。スキルのある日本人にとっては、フリーランス契約から始めるのがベストなんじゃないかなーと。
※有給休暇や福利厚生などはありません。
④契約社員(Contract)
海外にも契約社員的な雇用形態があります。契約社員になる流れは、フルタイム契約やパートタイム契約とほぼ同じですね。
- LinkedInや求人サイトに登録する
- 「Contract」と検索する
- 希望の求人に応募していく
これだけです。どちらにせよLinkedInは作っておいたほうがいいでしょう。
契約社員は固定給をもらえる代わりに、福利厚生が手薄な点と首を切られる可能性が高い点がデメリット。個人的には契約社員を選択するくらいなら、フリーランスで契約して、自由に立ち回れるようにしたほうがいいと思います。
⑤インターンシップ(Internship)
海外の雇用形態ではインターンシップが一般的になっています。日本語でいうと、「見習い」みたいな感じですかね。
日本では「インターンシップ=職業体験」みたいな感じが強いですが、海外ではそんなことありません。ガッツリ実務をやります。
とはいえ、インターンシップは学生向けです。もしすでに社会人経験があって海外企業に就職・転職する場合は特に考えなくてOK。それよりは、日本でスキルと実績を積み上げて、海外企業にアタックしたほうがいいです。
まとめ:海外に雇用されるために、まずはLinkedInから
本記事では、海外の雇用形態とそれぞれの採用フローについて解説しました。日本と海外の雇用形態は違う点があるため、初めて海外で働く人にとっては驚いたはず。
ですが、事前に海外にどんな雇用形態があるのかを理解しておけば、海外就職・転職を狙うときに戦略を練りやすくなります。
まずやるべきことは、すべての海外の雇用形態に当てはまる「LinkedInアカウントの作成」ですね。早速、LinkedInのアカウントを開設してみましょう。
LinkedInのプロフィール最適化が難しい!って方は下記のどちらかをどうぞ。
- ぼくのLinkedInアカウントを見つつ、自分なりにプロフィールを作成する
- ぼくのLinkedInコンサル(準備中ですm(_ _)m)を受けつつ、プロフィールを最適化していく
皆さんの海外進出の第一歩になれば幸いです〜。
それでは、また。