今回は昨日の「ワーク シフト」に引き続きリンダ・グラットン氏著「LIFE SHIFT」を紹介していきます。
前回の「ワーク シフト」は働き方にフォーカスした本でしたが、今回はさらに範囲を広げた人生設計に関する本です。
そういった人生設計を考えるきっかけとして、本書を読むのがおすすめです。
ということで、まずはぼくの記事を見てから購入するかどうか決めてくださいね。
ぼくがいつも使っている読書の"3種の神器"
\お得な読書サービス期間限定セール/
「LIFE SHIFT」の基本情報
「LIFE SHIFT」の基本情報について見ていきます。
書名:LIFE SHIFT
著者:リンダ・グラットン
出版日:2016/11/03
出版社:東洋経済新報社
続いて著者の「リンダ・グラットン」さんのプロフィールが以下の通り。
リンダ・グラットン(Lynda Gratton, 1955年 - )は、イギリスの組織論学者、 コンサルタント、ロンドン・ビジネス・スクールの管理経営学教授及び彼女自身の組織行動論(英語版)上の実績で有名なHot Spots Movementの創業者である。
リンダ・グラットン - Wikipedia
リンダ・グラットンの著書として有名なのが、前作「ワーク・シフト」。こちらも合わせてチェックしておくといいです。
「ワーク シフト」の書評・要約まとめ【2025年の働き方】
続きを見る
そして、余裕がある人は「LIFE SHIFT」の続編、「LIFE SHIFT2」も読んで見るといいです。
具体的なアクションプランが見つけやすいかなと。
「LIFE SHIFT 2」の書評・要約まとめ【コロナ後の人生設計】
続きを見る
「LIFE SHIFT」の要約まとめ
次に「LIFE SHIFT」の要約・まとめとして読書メモ+意見を記します。
- 資産に対する新しい考え方
- LIFE SHIFT - 各ステージの説明
- お金に対する新しい考え方
上記についてまとめていきますね。
資産に対する新しい考え方
・資産はしばらく存続する可能性がある半面、たいていなんらかの形で価値が下落していく。使用したり、放置したりすれば、価値が減少するのだ。したがって、資産には、慎重なメンテナンスと投資をする必要がある。このように考えれば、友人関係や知識や健康を資産の一種と位置づけるべき理由が理解できるだろう。友情や知識は一夜で消失はしないが、十分な投資を怠り、友だちと連絡を取らず、知識をリフレッシュしなければ、いずれは価値が下がり、ついには消失してしまう.
・こうした要素を除いても、無形の資産には非常に多くのものが含まれる。長寿化との関係を基準に、これらを三つのカテゴリーに分類してみた。
1 一つ目は 生産性資産。人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のことだ。スキルと知識が主たる構成要素であることは言うまでもないが、ほかにもさまざまな要素が含まれる。
2 二つ目は 活力資産。大ざっぱに言うと、肉体的・精神的な健康と幸福のことだ。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係などが該当する。長期追跡調査によれば、活力資産を潤沢に蓄えていることは、よい人生の重要な要素の一つだ。
3 最後は 変身資産。 100 年ライフを生きる人たちは、その過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げることになる。そのために必要な資産が変身資産だ。自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていることなどが含まれる。このタイプの資産は、旧来の 3 ステージの人生ではあまり必要とされなかったが、マルチステージの人生では非常に重要になる.
簡単に資産についてまとめます。
- 資産はなんらかの形で価値が下がる
- 資産にはメンテナンスと投資が必要である
- 資産には有形資産と無形資産がある
続いて、「LIFE SHIFT」では無形資産の価値に注目しています。
- 生産性価値:スキル、知識
- 活力資産:健康、近い人間関係
- 変身資産:変化力、広い人間関係
なお、上記のように洗い出してみると、「割と当たり前だな」と感じますよね。
でもその当たり前ができていないのが、現代人だと思います。
なので、当たり前のことを"意識的に"やっていくのが、これからの生き方になっていきます。
LIFE SHIFT - 各ステージの説明
・若い世代が実験に踏み出すのを妨げる要因もある。厳しい雇用状況というプレッシャーにさらされている日本の若者は、学校を出たあとすぐに就職しようとする傾向が強い。学校を卒業したあと、エクスプローラーとして探索の日々を送り、幅広いキャリアの選択肢を検討することは、職業人生の賢明な始め方とは考えられていないのだ。そうした保守的な態度は、人が創造性を発揮する機会を減らし、実験の可能性も狭めかねない。実験することは、長寿化時代にますます重要になるかもしれないのに・・・。
・いま 30 歳未満の人には、すぐに給料のいい職に就こうとばかり考えないようアドバイスしたい。じっくり時間を取ってさまざまなキャリアの選択肢を検討し、世界について学び、労働市場の未来をよく理解したほうがいい。自分のビジネスを立ち上げようとしている人と知り合えば、キャリアの選択肢について視野が広がるかもしれない。この期間は、未来の夫や妻とのパートナーシップのあり方を考える時期にもすべきだ。古い家族形態にとらわれず、平等性と対等な貢献を重んじた関係を築く必要がある。男性なら、どうやって未来の妻と平等な関係をはぐくめばいいか考えよう。女性なら、家庭に経済的に貢献する方法を考えればいい。 この時期には、人的ネットワークも広げたい。若者たちが多様な経験をする足枷になっているのは、自分と似たような人としか付き合いがないことだ。人生が長くなれば、人生の途中で変身を遂げることが不可欠になる。それを実践するためには、自分について知ることと、自分とは大きく異なるロールモデルと接することが重要だ。いま 30 歳未満のあなたは、人的ネットワークを広げて、自分とまるで違う人たちとつき合おう.
・■エクスプローラー
エクスプローラーは、一カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に、そして敏捷に動き続ける。身軽でいるために、金銭面の制約は最小限に抑える。このステージは発見の日々だ。旅をすることにより世界について新しい発見をし、あわせて自分についても新しい発見をする. 一部の国では、高校卒業後のギャップイヤー(大学入学を 1 年間遅らせて長期の旅行やボランティア活動などを経験する期間)が人生のステージとして定着している. それは、もっと長期間続く人生のステージだ。エクスプローラーは、周囲の世界を探査し、そこになにがあり、その世界がどのように動いているか、そして自分がなにをすることを好み、なにが得意かを発見していく。このステージは、自分を日常の生活と行動から切り離すことから始まる.
(省略)
長い人生には、変化と変身がつきものだ。だからこそ、長寿化時代には、変身資産という新しいタイプの資産が重要になる。
(省略)
エクスプローラーとして生きるのに年齢は関係ないが、多くの人にとって、このステージを生きるのにとりわけ適した時期が三つある。それは、 18 ~ 30 歳ぐらいの時期、 40 代半ばの時期、そして 70 ~ 80 歳ぐらいの時期である。これらの時期は人生の転期になりやすく、エクスプローラーのステージを経験することが明確な効果を生みやすい。現状を再確認し、自分のもっている選択肢について理解を深め、みずからの信念と価値観について深く考える時間にできるのだ.・■インディペンデント・プロデューサー
いま出現しつつあるインディペンデント・プロデューサーのステージでは、旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる。旧来のキャリアの道筋からはずれて自分のビジネスを始めた人たちがこのステージを生きる。エクスプローラーのステージと同様、特定の年齢層に限定されるステージではない。人生のどの段階にいる人でも実践できる。インディペンデント・プロデューサーとは、ひとことで言えば、職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ. 彼らがおこなうのは、もっと一時的なビジネスだ。ときには、目の前のチャンスを生かすための一回限りのビジネスの場合もある。このステージを生きる人たちは、成功することよりも、ビジネスの活動自体を目的にしている.
(省略)
インディペンデント・プロデューサーのステージは、専門知識を身につけ、学習し、しかも生産活動に携わる時期だ。差し当たり生計を立てるために、そして自分のやっていることが正しいと確認するためにも、お金を稼ぐことは大切だが、金銭的資産を大きく増やせるケースはめったにない。それよりも、生産活動を通じて学習することに重きが置かれる. 大きいのは、このステージでは安心して失敗できるという点だ。背負っているものが比較的少ないので、たとえ失敗しても深刻な結果に見舞われずに済む。
(省略)
新しい世代のインディペンデント・プロデューサーたちは知的財産を公開し、ほかの人たちとシェア(共有)することを重んじる。まねされてコピーされることは、高く評価されている証し。
(省略)
エクスプローラーとインディペンデント・プロデューサーのステージでは、無形の資産、とくに変身資産への投資が中心になる。そのため、金銭面のやりくりはつねに難しい。その点で興味深いのは、目覚ましく発展しつつあるシェアリング・エコノミー関連のテクノロジーだ。シェアリング・エコノミーは、人々が多くの資産をもたずに身軽に生きる道を開くと同時に、金銭的資産を増やすために収入を得る手段も生み出す。・■ポートフォリオ・ワーカー
しかし、さまざまな活動に同時並行で取り組みたい時期もある。そのように、異なる種類の活動を同時におこなうのがポートフォリオ・ワーカーのステージだ。ほかの新しいステージと同様、これも特定の年齢層には限定されない. この生き方にとりわけ魅力を感じるのは、すでに人生の土台を築いた人たちだろう. そこで、以下の三つの側面のバランスが取れたポートフォリオを築くようになる。一つは、支出をまかない、貯蓄を増やすこと。もう一つは、過去の経歴とつながりがあり、評判とスキルと知的刺激を維持できるパートタイムの役割を担うこと。そして最後の一つは、新しいことを学び、やり甲斐を感じられるような役割を新たに担うことだ.・移行期間には、大きくわけて二つのタイプがある。いずれも、無形の資産に大きな投資をおこなう. 一つは、エネルギーを再充塡したいという単純な動機に基づく移行期間だ. このようなエネルギー再充塡型の移行期間は、魅力的ではあるが、効果は長続きしない。移行期間が明けたとき、活力資産は高まっていても、スキルや知識、人的ネットワークなどの生産性資産は減退している可能性がある。エネルギーの再充塡をおこなう間、これらの資産を使わないからだ。そのため、再充塡が終わると、前と同じ業界に戻り、同じような役割を担うことになりやすい. もう一つのタイプの移行期間は、自己の再創造(リ・クリエーション)を中心とするものだ。枯渇した活力資産への投資よりも、新しいスキルや知識、新しい人的ネットワーク、新しい視点などの生産性資産への投資を積極的におこなう. 移行期間には、重要な無形の資産(活力資産と生産性資産)への投資がおこなわれるが、金銭的資産が減ることは避けられない。それを前もって計算に入れて、準備しておく必要がある.
※上記では一部引用を省略しています。
「LIFE SHIFT」のメインテーマですね。有名なので、聞いたことある方もいるかもですね。
- エクスプローラー
- インディペンデント・プロデューサー
- ポートフォリオ・ワーカー
それぞれ簡単にコメントをのせていきます。
エクスプローラー
一番今ぼくが必要としているステージです。
というのも、社会人になってから「あ、自分何も知らないな」と実感させられる場面が多々あるからです。
であれば、まずはガッツリ世界を旅してみる時期もあってはいいのではと思っています。
でも、これからはそういった日本の当たり前も変わってくるはず。
なので、その先行者として、世界に飛び出てみるのも面白いかなと考えてます。
インディペンデント・プロデューサー
ここも面白いですね。これからはスモールビジネスをボコボコ立ち上げる人が増えるって感じです
「職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ」という一文がすべてを表していますね。
たしかに、これからはどんどんAIに仕事を奪われてくので、AIに奪われない仕事を探すというより、自らAIに奪われない仕事を作っちゃう方が生産的かもしれませんね。
でも、仕事を生み出すにはやっぱり「エクスプローラー」で世界を見て、自分の強みや人々の悩みに気づいておく必要がありそうです。
ポートフォリオ・ワーカー
エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサーを経て行き着く先ですね。
ということで、コメントは省略します。詳しくは引用部分をご覧あれ。
お金に対する新しい考え方
・─「 100 歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約 10% を貯蓄し、引退後は最終所得の 50% 相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合、あなたは何歳で引退できるか?」 詳しくは 第 2 章 で論じるが、この場合は 80 代まで働くことが求められる.
・検討すべきなのは、未来の老後資金と未来の消費行動だけではない。現在の消費行動も無視できない要素だ。高い消費レベルが身に染みついている人ほど、引退後に消費レベルを落とすことが難しい。多くの研究によれば、消費を通じた満足感の度合いは、現在の消費レベルの絶対値より、過去の消費レベルとの相対値に大きく左右される。したがって、いま支出を抑えることは、お金を貯めるうえで好ましいだけでなく、堅実な消費パターンを身につけ、引退後に少ないお金で満足感を得やすくする効果もあるのだ.
・株式を売却したり、預金を取り崩したりする場合は、生活水準を落とさずに生活資金を調達できる。しかし、持ち家を売り、狭い家に引っ越せば、居住環境の面で生活水準が下がってしまう。しかも、人はマイホームに情緒的な結びつきを感じるため、現実には、住宅を引退後の資金源と考える人はほとんどいない。ある研究によると、 70 歳未満の人の 70% は、引退後の資金を調達するために家を売る可能性はきわめて小さいと答えている ★ 7。別の研究によれば、引退後に大きな家に引っ越す人の割合と小さな家に引っ越す人の割合はほぼ同じだという.
生活水準を上げないことが重要
なぜなら、一度上げた生活水準は下げにくいから。
そして、人生100年時代と考えると、一度生活水準を上げた人はずっとその水準以上で暮らすため、老後の途中できつくなってくるはず。
と思うかもしれませんが、いざそうなったときでは取り返しがつかなくなるので、今のうちに考えておいたほうがいいと思います。
持ち家は持たないほうが良さそう
理由は、一番取り崩しにくい資産だからです。
- 預金・投資→取り崩しやすい
- 持ち家→取り崩しにくい
納得ですね。持ち家には愛着とか縁とか感情面が介入しますからね。
やっぱり今の時代マイホームを買うのは損だなぁと再確認できました。
「LIFE SHIFT」の書評
いつも通り書評をまとめていきます。
昨日紹介した「ワーク シフト」は2012年に書かれましたが、2025年あたりの未来を予測していました。そして、実際どんどん予測された未来に近づいています。
さて、「LIFE SHIFT」が書かれたのはいつかというと、2016年です。
「ワーク シフト」から現代まで10年ちょいタイムラグがあることを考えると、「LIFE SHIFT」が当たり前になってくるのは2030年前後なのかなと思います。
実際、この本を読んで「イマイチ想像できんなぁ」と感じる人もいたはずです。
ただ、徐々に「LIFE SHIFT」がいう世界観に近づいてるはずです。
なので、「LIFE SHIFT」を信用して、人生設計していこうと思います。
「LIFE SHIFT」を読むべき人
最後に、「LIFE SHIFT」についてまとめていきます。
「LIFE SHIFT」を読むべき人
- 「ワーク シフト」を読んだ人
- 人生設計について考えたい人
- 未来予測が好きな人
かなりページ数あるので、ぶっちゃけ読むのは大変ですが、それだけ時間をかける価値はあります。
ぼく自身、本書を読んで真剣に人生設計を考えるようになりました。そして、かなりこれまで描いていた人生設計をゴロッと変えました。
それくらいインパクトはある本だと思うので、気になる方はぜひ手にとってみてください。
ちなみに、漫画版もあります。
それでは、また。