今回取り上げる本は「ワーク シフト」。
2012年に発売され、かなり話題になった本です。(そのときぼくは14歳ですね笑)
では、そんな10年以上前の本をいまさら取り上げるのか。それは、この本が2025年の働き方の未来を予想しているからです。
ということで、直近の未来を見据えるためにも本のまとめをしていきます。
なお、今日からワーク シフトシリーズを3本連続投稿します。明日は「LIFE SHIFT」、明後日は「LIFE SHIFT2」です。一緒に働き方や人生設計を学んでいきましょう!
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「ワーク シフト」の基本情報
「ワーク シフト」の基本情報について見ていきます。
書名:ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
著者:リンダ・グラットン
出版日:2012/09/03
出版社:株式会社プレジデント社
続いて著者の「リンダ・グラットン」さんのプロフィールが以下の通り。
リンダ・グラットン(Lynda Gratton, 1955年 - )は、イギリスの組織論学者、 コンサルタント、ロンドン・ビジネス・スクールの管理経営学教授及び彼女自身の組織行動論(英語版)上の実績で有名なHot Spots Movementの創業者である。
リンダ・グラットン - Wikipedia
「ワーク・シフト」の続編的な立ち位置の本があります。それが「LIFE SHIFT」です。
こちらも合わせて読むのがオススメです。
ちなみに、「LIFE SHIFT」の書評記事は下記です。ぜひ。(実は「LIFE SHIFT2」もあるんだぜ。) 続きを見る 続きを見る
「LIFE SHIFT」の書評・要約まとめ【人生設計】
「LIFE SHIFT 2」の書評・要約まとめ【コロナ後の人生設計】
「ワーク シフト」の要約まとめ
次に「ワーク シフト」の要約・まとめとして読書メモ+意見を記します。
- 未来の働き方はどうなるのか
- シフト①:連続スペシャリストへ
- シフト②:孤独な競争からの脱却へ
- シフト③:情熱を傾けられる経験へ
上記についてまとめていきますね。
未来の働き方はどうなるのか
・要因1 テクノロジーの進化
1 テクノロジーが飛躍的に発展する
2 世界の五〇億人がインターネットで結ばれる
3 地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになる
4 生産性が向上し続ける
5 「ソーシャルな」参加が活発になる
6 知識のデジタル化が進む
7 メガ企業とミニ起業家が台頭する
テクノロジーの進化にともない、仕事とビジネスの環境が複雑化する結果、世界を舞台にビジネスをおこなう巨大なメガ企業が台頭する。その一方で、さまざまな産業のエコシステム(生態系)の中で、無数のミニ起業家たちがコラボレーションを通じて価値を生み出し始める。
8 バーチャル空間で働き、「アバター」を利用することが当たり前になる
9 「人工知能アシスタント」が普及する
10 テクノロジーが人間の労働者に取って取って代わる・要因3 人口構成の変化と長寿化
Z世代は、二〇〇五年前後にようやく一〇歳になった世代。二〇二五年には、三五歳くらいになっている。二〇二〇年以降は、世界中の企業の現場で主要な役割を担いはじめるはずだ。「リ・ジェネレーション(再生の世代)」「インターネット世代」などとも呼ばれるこの世代は、充実したインターネット利用環境で育つことが特徴と言われる場合が多い。この世代がどういう世代になるかは未知数の部分が多いが、現時点で少なくとも言えるのは、本書で取り上げる新しいトレンドに囲まれて子ども時代を送る最初の世代がZ世代だということだ。この世代のものの考え方や振る舞い方は、新たに出現する困難とチャンスの影響を色濃く受けて形成されていくだろう。 人口構成の変化と長寿化の要因に関して、私が未来ストーリーに取り入れた現象は次の四つだ。
1 Y世代の影響力が拡大する
Y世代が自分たちの希望やニーズを職場に反映させるようになる。ワークライフバランスを重んじ、仕事に面白さを求めるY世代の志向が仕事のあり方や組織のあり方、仕事の環境を大きく変えていくだろう。
2 寿命が長くなる
3 ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える
4 国境を越えた移住が活発になる・時間に追われない未来をつくる 時間に追われる未来を迎えないためには、三つの〈シフト〉を成し遂げることが効果的だと、私は考えている。 〈第一のシフト〉で目指すのは、専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと。 〈第二のシフト〉は、せわしなく時間に追われる生活を脱却しても必ずしも孤独を味わうわけではないと理解することから始まる。目指すべきは、自分を中心に据えつつも、ほかの人たちとの強い関わりを保った働き方を見いだすこと。私 しかし、時間に追われる日々を避けるうえで最も有効なのは〈第三のシフト〉だろう。消費をひたすら追求する人生を脱却し、情熱的になにかを生み出す人生に転換することである。
・なにを所有し、なにを消費するかを基準に人間を格付けする傾向が強まると、もう一つ興味深い現象が生まれる。ナルシシズムが蔓延するのだ。ここで私が言う「ナルシシズム」とは、たえず自己を中心に置く発想や行動のこと。自分がどういう人間かを他人に説明し、自分を宣伝し、自分を安心させ、自分がどう思われているかをしきりに知りたがる傾向が強まるのである。
気になる点を2点ほどピックアップします。
メガ企業とミニ起業家が台頭する
まさにこれはGAFAMとその周りの企業を指していますよね。
2012年当時もGAFAMのようなIT企業はスゴかったですが、今こんなに世界を牛耳るような企業になるとはなかなか想像できている人もいたはず。
ですが、今では、GAFAがない生活なんてありえないですよね。
さらに、その周りにミニ起業家が増えるというのも割と当たっている気がします。今は起業家というよりかはフリーランスが増えているような感じですが、傾向としてはありますよね。
実際、日本でのフリーランス人口はますます増えていくと予想されています。
引用元:フリーランスは増えすぎ!?人口増加の理由と競争社会で生き残る方法 | フリーダッシュ
ぼくもブログを書いてGoogleから少し広告費をもらっていますので、この枠組みに当てはまりますね。
ナルシシズムの蔓延
所有や消費によって人を判断する傾向が強まると、ナルシシズムが発生しやすくなるそうです。
ぼくなりに理由を考えてみましたが、所有や消費が自分の写し鏡になるせいで、本当の自分が周りからどう思われているのかが余計気になるんだと思います。
なぜなら、必ずしも所有・消費=自分の価値とはならないからです。
そこの乖離が生じることによって、本当の自分をアピールしたくなる。結果、自分がどう思われているのかを常に気にする「ナルシシズム」が生じるんだと思います。
では、これが良い傾向であるかというと、そうではない気がしますね。
行き過ぎた自己中は犯罪に繋がる可能性もあるからです。かといって周りに合わせすぎるのもどうかと思いますが、、、難しいところですね。
シフト①:連続スペシャリストへ
・〈第一のシフト〉に関して、私は次の二つの資質が重要だと考えている。
*専門技能の連続的習得 ──未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、ほかの分野の専門知識と技能の習得を続ける。
*セルフマーケティング ──自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。グローバルな人材市場の一員となり、そこから脱落しないために、そういう努力が欠かせない。・キャリア3──ミニ起業家
・しかし二〇二五年の世界では、ミニ起業家たちの働き方がこれまでとまるで変わる。大企業はなくならないだろうし、むしろ企業の規模は概してもっと大きくなるという予測もあるくらいだが、労働人口に占める割合で言えば、一人で働く人や、少人数のグループの一員として働く人が増える。とくに、大企業を中核に成り立つビジネスの「エコシステム(生態系)」のなかで働く人が多くなる。
・この変化を突き動かす最大の要素は、言うまでもなくITコストの下落とクラウドサービスの普及だ。非常に小規模の事業者でも、最先端の分析技術を活用すれば、注文の受注状況を常時把握したり、ほかの事業者と活動を調整したり、料金や代金を徴収したりすることが可能になりはじめている。インターネットの恩恵で、資金調達もずいぶん容易になった。世界中の多くの人がインターネットを通じて起業家のビジネスアイデアを知り、興味をいだいたり、有望だと感じたりしたアイデアがあれば投資しやすくなった。この傾向は、今後ますます強まるだろう。
・キャリアの脱皮を成功させる
・第一は、新しいチャンスが目の前に現れたとき、未知の世界にいきなり飛び込むのではなく、新しい世界を理解するために実験をすること。
・第二は、自分と違うタイプの大勢の人たちと接点をもち、多様性のある人的ネットワーク(ビッグアイデア・クラウド)を築くこと。潤沢な情報や視点が手に入るだけでなく、ほかの専門分野で活動している人の生き方を見ることにより、自分がその分野に脱皮できるかどうかを判断するヒントを得られる。
・第三は、はじめのうちは本業をやめず、副業という形で新しい分野に乗り出すこと。既存の仕事をフルタイムで続けて収入を確保しつつ、新しい分野の経験を積み、専門技能や知識を磨き、信用を築き、同時に新分野での自分の適性を試すのだ。
ここからは本書のメインである、各シフトの説明をしていきます。まずは、1つ目のシフト「連続スペシャリストになる」からです。
まず、今後は連続スペシャリストになる必要があります。今までの「大企業一筋っす」みたいな考え方は通用しなくなるということですね。
なぜなら、今は時代の流れ方がめちゃくちゃ速いから。新しいテクノロジーが生まれては既存の仕事を奪い、また新しいテクノロジーが出て・・・のサイクルが速いです。
では、どうしていくべきかというと、常に勉強して複数の高度な技術を獲得していくことが重要となります。
そのことを踏まえて、キャリアを更新していく際に重要なことが以下の通り。
- 新しいチャンスに対して、冷静に理解と実験を繰り返す
- 多様性のある人的ネットワークを形成する
- 副業思考を持つ
ぼく自身、①と③は割とできているかなと思うので、次は人との交流を意識していこうかなと思います。
まだどれも意識できていないという人は、まず副業思考を持って興味のあることに挑戦してみるのがいいと思います。 続きを見る
例えば、ぼくのようにブログを書いてみるのも一つの選択肢です。
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シフト②:孤独な競争からの脱却へ
・孤立した状態で、そういう高度な専門知識が身につくことは考えづらい。アドバイスと支援を与えてくれる比較的少人数のブレーン集団が不可欠だ。それが本書で言う「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」である。
・ポッセ──頼りになる同志
・*ポッセは比較的少人数のグループで、声をかければすぐ力になってくれる面々の集まりでなくてはならない。また、メンバーの専門技能や知識がある程度重なり合っている必要がある。専門分野が近ければ、お互いの能力を十分に評価できるし、仲間の能力を生かし
*ポッセのメンバーは以前一緒に活動したことがあり、あなたのことを信頼している人たちでなくてはならない。知り合ったばかりの人ではなく、あなたのことが好きで、あなたの力になりたいと思ってくれる人であることが重要
*充実したポッセを築きたければ、ほかの人と協力する技能に磨きをかけなくてはならない。他人に上手にものを教え、多様性の強みを最大限生かし、たとえバーチャルな付き合いでもうまくコミュニケーションを取る技能が不可欠だ。
・ポッセは、メンバーがお互いに引きつけられ合うことによって形成されるケースが多い。ポッセを築くためには、共通の知識と関心を通じて、自分のポッセのメンバーになりうる人を引きつけることが効果的なのだ。
・ひとことで言えば、ポッセのメンバーを引きつけるには、まず自分が積極的に「発信」しなくてはならない。その際、自分がなにを成し遂げたかだけでなく、どういう難題にぶつかっているかを語ることが重要だ。あなたがなにに関心があり、どういう課題を抱えているかを語ってはじめて、ほかの人たちは、どうすればあなたと共同行動を取れるかがわかる。・ビッグアイデア・クラウド──大きなアイデアの源
・*ビッグアイデア・クラウドは、自分の人的ネットワークの外縁部にいる人たちで構成されなくてはならない。友達の友達がそれに該当する場合が多い。自分とは違うタイプの人間とつながりをもつことが重要だ。
*ビッグアイデア・クラウドは、メンバーの数が多いほうがいい。ポッセは最低三人いれば成り立つが、ビッグアイデア・クラウドは何百人ものメンバーで構成される場合もありえる。
・ビッグアイデア・クラウドは、どうすれば築けるのか。
・意識すべき点は三つある。第一は、普段あまり行かない道を歩くこと。いつもと違う世界に足を踏み出し、知人の範囲を広げ、自分と違うタイプの人たちを人的ネットワークに取り込むのである。第二は、人との付き合いの面でカメレオン人間になること。自分ときわめて異なるタイプの人たちのグループに加わるときは、そのグループの流儀に合わせて自分のスタイルをある程度変更するつもりでいるべきだ。第三は、「プッシュ(=押す)」ばかりでなく、「プル(=引き寄せる)」を心がけること。多くの人の名前を覚え、多くの人と接するだけでなく、多様な人たちに自分に興味をもってもらい、向こうからアプローチしてもらう必要があるのだ。・自己再生のコミュニティ──支えと安らぎの人間関係
・昔、私たちは地域社会や家族の親密な関係を通じて、支えと安らぎを得ていた。未来の世界でそういう人間関係が完全に消滅するとまでは言わないが、それが当たり前のものではなくなる。温かみのある人間的な絆は、これまでより意識的にはぐくまないと手に入らなくなるのだ。
・現実世界の人間関係である必要があるのだ。そこで、自己再生のコミュニティを築くうえでは、場所が重要な意味を持つ。・仕事を選ぶ
・時間に追われ、他人の要求に対応することに忙殺されると、深い友情のためにつぎ込むエネルギーと意欲がすり減ってしまう。
・友人関係は自然に生まれるものではなく、エネルギーと時間を意識的につぎ込まなければ成り立たないこと。活力源となる友人関係の核をなすのが関心と価値観の共有であること。
続いて、2つ目が「孤独な競争からの脱却」です。
孤独な競争から脱却するために築くべきは以下の通り。
- ポッセ=学生時代の友人、会社の同僚、SNSで交流のある人
- ビックアイデア・クラウド=友達の友達、コミュニティ仲間
- 自己再生のコミュニティ=家族、地元の友だち
ざっくりイメージはこんな感じですかね。
そして、ぼくが大事だなと思ったのは最後の文です。友人関係は自分で努力して作るものだという点。
一方で、学生時代は積極的に部活やサークルの活動に参加していたし、週1で誰かと飲みに行くぞみたいなこともしていました。
その結果、かなり交友関係は広がっていたので、再度こういう努力をしていかないといけないなと思いますね。
シフト③:情熱を傾けられる経験へ
・ひとことで言うと、〈第三のシフト〉を実践すれば、仕事が大量消費のための金を稼ぐ手段ではなく、充実した経験をする機会に変容するのである。
・自分の選択について意識的に考えはじめると、私たちは次の三つの問いを検討するようになる。第一は、インターネットなどのテクノロジー、ものごとが起きるスピード、グローバル化の進展状況に関してどのような変化が訪れ、それが仕事の世界にどういう影響を及ぼすのかという問い。第二は、とくに「漫然と迎える未来」のシナリオが現実化した場合に、どのような未来がやって来るのかという問い。言い換えれば、いつも時間に追われ、孤独にさいなまれ、大規模な貧困層が生まれる可能性のある未来で、自分の職業生活がどうなるのかという問いだ。そして第三は、仕事に関する選択をおこなうに当たり、自分がどういう困難とジレンマに直面しているのかという問いである。この第三の問いは、最も大切な人たちとじっくり話し合い、一人ひとりで異なる答えを導き出すべきものだ。
最後のシフトが「情熱を傾けられる経験」です。
連続で高度な技術を蓄えつつ、徐々にアイデアや安らぎをくれる仲間を周りに増やす。今までのシフトはいわば、周りの環境形成だったように思います。
ですが、最後のシフトはその環境をフルで活かして、自分が本当に情熱を注げられることを見つけていくフェーズです。
結果、自分のやりたい仕事に就こうぜっていう当たり前の結論になっている気がしますが、本書のすごいところはそれまでのプロセスを長期間で考えていることです。
「自分のやりたいことなんてすぐに見つかるわけない。まず、ちゃんと技術を身につけ、仲間を増やしてから見つかるものだ」ということを諭してくれています。
「ワーク シフト」の書評
いつも通り書評をまとめていきます。
ワーク シフトのすごいところは、今となっては正しい未来予測をしている点と、今後のキャリア形成について丁寧に解説している点です。
ぼく自身、新卒で会社に入って間もない頃に一度読みましたが、そのときに衝撃を受けました。
というのも、その当時のぼくは「とりあえず大企業に入れた安心感」を持っていたからです。
しかし、本書を読み進めていくと、どんどんキャリアを変化させて、普段関わらない人的ネットワークを形成し、やりたいことを見つけていくという大企業の働き方とは真逆の働き方が解説されていました。
もちろん今は学べることもあるので、もう少し今の会社でがんばりますが、20代のうちに会社をやめるのは決定してます。この本のおかげで。
以上のように、大企業だから安泰だぜと思っている人ほど読むべき本だと思います。その思考でいると確実に近い将来危ないです。なぜなら、本書が予想しているのは2025年の未来だから。
「ワーク シフト」を読むべき人
最後に、「ワーク シフト」についてまとめていきます。
「ワーク シフト」を読むべき人
- 今・将来の働き方に不安を抱えている人
- 今後の人生設計に不安を抱えている人
- 未来予測が好きな人
「ワーク シフト」はベストセラーになりましたが、それも納得の内容でした。
また、今の時代にも通用するような思考が書いているので、自分の働き方や人生に悩みや不安を抱えている人はぜひ手に取ってみるのをオススメします。
また、その続編でもある「LIFE SHIFT」もおすすめです。というか、まずはこっちの方がより現代にマッチした内容なので、こちらから読んだほうがいいかも。
「LIFE SHIFT」の書評・要約まとめ【人生設計】
続きを見る
それでは、また。